新しい靴のこと05

こんにちはこんばんは。

すっかり間が空いてしまい、気がつけば11月。
はっとするほど時間が経つのが早いです。

10月後半は出張ワークショップのご依頼があったり、
別ワークショップのご依頼の打ち合わせやその準備があったり等々、
あまり製作に集中する時間がなかったのですが、11月はちょっと
ゆったりめのスケジュールをとってオーダー作業と新しい靴の製作に
集中しようと思っています。

早速ですが新しい靴のこと、その後です。

前回出た修正点を元に型紙をおこし直し、次のステップに進みました。
まずは一足、完成形を作っていきます。早速ですが裁断に入りました。

写真は先日、オットに裁断してもらった時の様子です。

これまでもこんなトピックの投稿の時は話題にしていますが
スタジオmmkでは裁断の全てをオットが担当しています。

彼の裁断スタイルは少しイレギュラーで靴用の道具を使って
裁断することはほとんどなく、基本的にはアートナイフと言われる
ペン型のカッターを使います。

アートナイフのメリットは細い刃先で繊細なラインを描けるところ。
靴はほとんどが曲線なので革用包丁だと動かしづらいんだそうです。

実際に彼の刃裁きを見ていると実に滑らかで、レーザーカッターで裁断した
かのような裁断面に身内ながら見入ってしまいます。

諸刃の剣のことわざのように、メリットがあればデメリットももちろんあって、
まずは刃が柔らかいのでコシのある革を裁断するときは思ったように刃が
動いてくれないことが多いです。

裁断している様子を見ると実に優雅な動きをしているのだけれども、
刃がスムースに動くように刃の握り方をこまめに変えたり、革を支える
場所を刃の動きに合わせてこまめに変えたり、と工夫をしながら
裁断しています。

あとは切れ味がすぐに鈍ってしまうので替刃のストックが
切れないように在庫管理が意外と大変。

とあとのはそれほど大きなデメリットではないですが、
こんな感じで、スタジオmmkは分業をしながら二人で一足の靴を
仕上げています。

ちなみに、この後の工程となるミシンの作業もオットの担当です。

作業が進んだらまた書きます。

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新しい靴のこと04

こんにちはこんばんは。

台風一過後の気持ち良い天気が続きますね。

個人的にはこの時期が作業にとって一番快適な気候かなと思ってます。

そんな今日も新しい靴、が仕上がっていくまでを書きます。

前回書いた釣り込みを終えたフィッティングモデルに仮底をつけ、
中敷を入れて足入れです。

実際に形にしてみると、読み切れなかった点とか深読みしすぎたことが
浮き彫りになっていくので、それらの修正のためにあれこれ施していきます。


鏡を見ながらペンでラインを入れて理想的な線を求めたり
当たりが強い履き口にはハサミを入れて程よいところまで
切り込んだり、


足入れをした状態を鏡で見て全身の雰囲気を見たり、と。

修正点が思ったよりも多く出てしまいましたが、脳内のイメージから
的が外た感じもなく、次へのステップがクリアになりました。

さてここから大胆に修正を加えるか、少しずつ歩み寄るように
修正して段階的微調整を繰り返すべきか。

悩むところですが、まずはなすべきことがはっきりしたので
そこにフォーカスしてフィッティングモデル02号の型紙作りに
入ろうかと思います。

さて、肝心の足や脚・体への影響ですが、及第点かな、というところでした。
もうちょっと攻めてもいいかなと思う部分もあれば、もう少し甘やかして
もいいのかなぁ、というところも。

今回新しい靴を作るにあたり、今の自分だけでなくこれから年を重ねていく
自分に対して差し伸べたい一足を作りたいと思ったこともきっかけの一つでした。

甘やかし、はまさにこの想いと重なる部分なのですが、少し長くなると
思うのでこの辺りはまた改めて書きたいと思います。

今日もご覧いただきありがとうございました。

また書きます。

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新しい靴のこと03

こんにちはこんばんは。

今日も新しい靴のこと少し書きます。

正確には、新しい靴を作っている途中のこと、ですね。
チラチラ見せているわりに具体的に靴のデザインに触れてなくって
すみません。(ちょっと時差のある)現場ライブと思って
ご覧いただけたら嬉しいです。

前回までにお話ししていた革パターンをもとに仕上げた型紙で
フィッティングモデルを作っていきます。

フィッティングモデルというのは試し履き用の靴のことです。

ラフの段階ではあくまで革でラインを見るだけでしたが、実際に
足を入れることで見えてくる細かい修正点と、全身で見た時の
バランスなどを見ていきます。

そして肝心なこと。実際に履いた時に足と脚、そして歩行に
どのような影響を及ぼすかを見ていきます。フィッティングの
一番の目的です。

靴単体として良きラインとバランスが出せたとしても、良き
フィッティングが得られなければ結果的に活躍する一足には
ならないのが靴作りの難しいところ。

ということで、フィッティングモデルは簡略化する場所もありますが、
本番の靴と同じ工程で仕上げていきます。

裏革も付けるし、芯材も入れます。実際に歩くので仮の底材も付けて
中敷材も入れてその具合を見ていきます。


フィッティングモデル01号、まずはつりこみまで終わりました。
実際に履いて次のステップに進みます。果たして前に進めるか、
それとも振り出しに戻るのか。

さて、
今回は当初のイメージではブローギングを前提として作り始めました。
フィッティングモデルでは片足は省略という意味も込めてフローギング
一切なしでやってみたところ


あれれ?シンプルな切り替えだけも実に良い。とても良い。
ずっと見ていたら、こっちも履きたいかも?ってなっている私たち。

ただ、ブローギングなしとなると視覚的に受ける印象が変わって
しまうので、バンプの切り替え場所などはこのままでは詰まり気味な
印象となっちゃう。さぁ、困った。どうしようかな。
ブローギングなしバージョンの型紙作りにも入った方いいかも?!

今日もご覧いただきありがとうございました。

また書きます。

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新しい靴のこと02

こんにちはこんばんは。

空気はすっかり秋めいてきましたね。
と、書き出した今日は30度を超えてますが・・


しかし、入ってくる空気が程よく乾いていて
窓を開け放っての作業は実に心地よいです。

ってことで今日も新しい靴のことを少し綴ります。

前回はラフを作ってラインを見るところまでお伝えしましたが、
そのラフを私は「革パターン」と呼んでます。

ちなみに革パターンという言葉は業界用語でもなんでもなく、
私が勝手に呼んでいるだけで、(おそらく)そんな言葉は
どの靴作り現場にも存在しないです。お許しください。

話を戻しましてその革パターン、じゃぁなんでそんな呼び方を
しているかというと、ラフで作るアッパーに直接ラインを加えたり
切り込みを入れて理想のラインを探っていくからです。
洋裁の立体裁断のような手技、かなと思います。

木型の上で描いたラインを紙に落とし込み、その型紙をもとに
革を裁断してまた木型に戻すのですが、立体→平面→立体と
繰り返すうちに誤差が生じます。

誤差が生じる理由はいろいろです。平面と立体の違いや、縫い目が入る
ことでかかるテンションの影響、素材の特性、などなど。

あとは、頭の中では理想的と思っていたラインも立体に乗せると
なんじゃこりゃ!?って雰囲気に成ってしまうことも多く(汗)

ラフの段階でそこを減らす/なくせればいいのですが、なかなか
読み切れず、私は何度か繰り返して本パターン作りに入るようにしています。
答えが分かっているのに答えが出ない、実に歯痒い時間。

でも、個人的にはこの歯痒い時間が大好きでして。
想定したことが的外れじゃなかった時は嬉しいし、
仮に的外れだったとしても、本当の的が見えてくるし。
あとは、この時間だけは本当に自分たちのための時間って感じで
単純にゲームのようで楽しい。

おまけ話のような感じですが、
若い頃に少しだけお洋服作りを学びました。

結局お仕事になることはなく、ただの服好きの人で終わったなと思って
いましたが、型紙や縫製の際のあれこれにそのとき得た知識が役立って
いると思うと服作りを学んでいてよかったなと思うことが多いです。

何より、靴はお洋服を引き立てるバイプレイヤー
はスタジオmmkのモットーの一つ。

やっぱりね、お洋服って存在が靴を生かすし活かすな、と。わずかだけども
お洋服の知識が体に残っていたおかげで靴作りと靴をいろんな角度から
見れてるなー、と。

秋冬、皆さんもおしゃれしてお出かけくださいね。

また書きます。

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足もシフトチェンジ

こんにちはこんばんは。

長い雨が続いた関東地方でした。大雨だった地域の皆さんに
できる限り不便がなかったことをただただ願うばかりです。
引き続き安全にお過ごしいただければ、です。

今日はひとしなシリーズは一旦お休みして、最近のスタジオmmk
の製作現場レポートを少々。

今年はリピートのお客様からのご依頼が多いです。
10年以上のお付き合いとなる方も多く、互いに元気に年を
重ねられたことを嬉しく思うばかりです。

と同時に、互いに若い頃と明らかに体は変わってきていて、木型の
見直しや新たな素材のご提案が重要となってきました。

足長(23.5cmとか25cm、って表現する足のサイズ)に大きく変化が
ないのでお客様ご自身は小さな違和感程度のことが多いですが、実際に
採寸してみると足周寸法(足の幅や甲の高さなどなど)には大きな
変化がある事が多いです。

足周寸法こそ靴においては大切な要素なので、木型を見直したり
すでにお納めしている靴に対しては中敷類で調整をご提案したり。
あとは素材でもフィット感が変わってくるので新たな素材のご紹介も。

ちょっとの施しで歩行の楽さが変わるのであれば、やらないよりも
やった方が良い、というのが火を見るよりも明らかで。リピートの
お客様には良きタイミングでご提案させてもらってます。

好きなものを、その好きだった時のイメージのまま歳を重ねようと思うと
どこかでチューンナップやシフトチェンジが必要なんじゃないかな、と
個人的に思ってます。もし今履いている靴に以前のような便利さを
感じなくなったら是非ご相談ください。

さて一方で、前回の長財布の記事でも少し触れましたが、好みは突然違う
道に進むことも。特に体と気持ちってリンクしているので体の変化に合わせて
身につけたいものの好みも変わってきたり。実際に私もそういうことが
増えてきました。そんな時も是非お話聞かせてください。互いに発見が
あってますます楽しいオーダーになると思います。

今日もご覧いただきありがとうございました。
また現場よりあれこれレポします。

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