酷暑がずーーーっと続いていてここ2週間くらい靴教室の生徒さんが
来る度に「暑くて死んじゃうかも」と連呼し続けていましたが
昨夜あたりから涼しい風が吹き、今日は雨でとても涼しかったです。
天然パーマ靴屋のmmkにとって雨は全く持って憎たらしい存在ですが、
これだけ過ごしやすいとアメアメフレフレモットフレ、です。
過ごしやすいのも明日までのようですが。。。
なんて、暑くて死ぬってことは間違いなくないmmkくつが開催する靴教室の
生徒さん数名の靴が完成致しました〜。メインサイトにアップしています。
ぜひとも御覧下さいませませ。
mmk靴工房
完成したうちの1人はウエスタンブーツでした。
(正確に言うとウエスタンブーツのように見える仕様のブーツ、になるのかな?)
彼女は夏場はモカシンを履いている率が高い気がするので、完成したブーツが
活躍するのは秋以降でしょうかねー。
トップの写真はちょうど一足目の本番靴のつり込みをするYくんとTさん。
Yくんはソトバネくつ、Tさんはウチハネくつ、です。ヒモ靴つり込みバトル。
2人ともとても作業の手際が良いのでこの調子で行くと秋には完成かなー。
ファッションの秋のお供にして下さいねー。
月別アーカイブ: 2010年7月
何かと言い訳をして色々買ってしまう癖はなかなか抜けないものです。
以前から気になっていたものをとうとう買ってしまいました。
↑これです。「ビュンビュン回転モップ」って言います。
すごいネーミングですよね。。その名の通りモップです。
靴作りは削って擦ってジャンケンポンな粉塵が発生する作業が多い仕事ですが
mmk自身は実は気管支にちょっとした疾患があって粉塵は天敵以外のなにものでも
ありません。作業中はマスクで防げるものの、時間がたつと舞い上がった粉塵は
じっくりコトコト落ちてくるのでこいつがなかなか厄介。
好きだけどケンカばかりしている二人のような感じ?あれちょっと違うかな。
掃除機だけでなく、床拭きもしないと粉塵はなかなか撃退できないのですが、
雑巾をジャブジャブ洗い、床を這いつくばって拭くのも結構しんどいなぁと
ずっと思っていたある日、深夜の通販チャンネルでこの手のモップを紹介
しているのをみて「こ、これは!」と思い、インターネットで調べたら
3980円で売られているところを発見。数日悩んで結局¥購入¥
バケツについたべダルを踏み踏みしてモップビュンビュン回転させて洗い、
ビュンビュン回転させて脱水するという、いたって簡単な仕様です。
今まで手で洗って床を這って拭いていたことを思うと本当に楽チン。
しかもこのビュンビュン具合が楽しぃ〜。
洗われ具合&絞られ具合は「それなり」かな。やっぱり人の手で洗ったほうが
良く洗えるし、絞り加減も程よいだろうし。
でも、床拭きが億劫でオサボリってことも減りそうなので、毎日床拭きが
出来ると思えば3980円として考えると「でかした」と思います。
靴教室の生徒さんで使ってみたい人は遠慮なくどうぞ〜。
ついでに作業部屋全体をお掃除してもらえると助かります、なんて。
と実は今回購入を決断させる事故がありまして。。。
床を這いつくばって拭いて、立ち上がろうとしたときにグラインダーの
台の角にガリっと腰をぶつけて腰のど真ん中の皮が剥けてしまったのです。。
ジーンズのフチが傷口にこすれるわ、運動すれば汗が沁みるわで、しばらく
ゲンナリな日々だったのでした。
グラインダーといえば以前こんなことしちゃったこともありましたね。。
グラインダーは気をつけないところが沢山ですよ、みなさん!
先月末でマイケルジャクソンさんがなくなって1年がたちましたねぇ。
1年って本当に早い。
そんなMJの「ライフタイムコレクション」という展示を観に先日東京タワーに
行ってきました。新東京タワーは浅草に買い出しに行く度に見ていますが、
元祖東京タワーってなかなか近くで見る機会ないのでこれもまたよろし。
mmk個人としてMJさんへの想いを語ると溢れてすぎて文章にならないので、
今日は靴の作り手的見解でのちょい長めの日記を。(いや、結構長いかも)
MJで靴と言えばまず思い浮かぶのは「ローファー」。
彼がステージで履く靴は殆どと言って良いほど同じローファーでした。
THIS IS ITの衣装を担当したデザイナー・ザルディ氏へのインタビューの
中で
「なぜいつも同じ靴を履いているの?って聞いたら
’この靴じゃないと踊れない。同じカタチの靴を100足以上持っている’
と言っていたよ」(正確な足数は違ったかも。。)
と靴についての一幕を話していました。
スタイルよくて衣装も細部にこだわっているMJも靴に関しては履き心地(踊り心地?)
を求めていたんだなぁ、と。しかしこのザルディ氏、デザイナーとして、
そしてMJファンとしてきっとMJには靴にも美しさを求めて欲しかったのでしょう。
ザルディ氏の提案でTHIS IS ITではそのローファーをカタチ・サイズは忠実に再現し、
素材を衣装にあわせたものを5足ほど用意していました。
その新たに作り出されたローファーがライフタイムコレクションでも公開されていました。
手に取ってみることは出来ませんでしたがかなり間近で見てみて
・甲をかなり薄くしてある。
・カウンター(踵芯)は踏まずまでは入れこまず踵周りだけ。
・踏まずのところには穴をあけて鳩目で通気孔を作っている。
・モカの仕様はかぶせモカ
って事が分かりました。
ダンスの出来ないmmkのあくまで推測ですが
MJのダンスはムーンウォーク、バックスライド、つま先立ちなど
足の背屈・底屈が頻繁に行われるので底面の屈曲性だけでなくアッパーのウエスト
あたりもしっかりと融通が利いてくれないと踊りにくい。
カウンターがしっかり踏まずまで入っていると背屈・底屈しづらいんだろうなぁと。
バックスライドをすると靴の中で足が動くので甲を薄くして踵がすっぽ抜けるのを
防いでいる、のかなぁと。
激し動きなので強度が合わせモカよりも強いかぶせモカかなぁ、とか。
そして通気孔で可能な限り蒸れにくく、と。
あと手に取って見たわけではないので判別できませんでしたが、先芯はモカよりも
釣りしろ側にしか入ってないような気がしました。これも踊っているときに
靴の中で足を踏んばると薄くした甲が足趾に当たるので痛み軽減かなぁ、とか。
でもこの件はちょっと不明。
そしてMJと靴と言えばもう一つ。ゼログラヴィティ、ですね。
名前だけ聞いても??って思う方も多いと思いますが、「SMOOTH CRIMINAL」
という曲で両足を着地したまま斜め45度に前傾するアレです。
ゼログラヴィティは靴のヒール部分にVの字のような切り込みを入れておき、
その切り込みをステージに仕掛けたフックに引っ掛けて前傾するってからくりです。
ま、フックがあるからってあんな風に真っ直ぐ前傾できるわけできるわけではないので
腹筋背筋大腿筋ヒラメ筋に筋力がないと出来ない動作ですよね。
今回の展示ではTHIS IS ITで使用される予定だったゼログラヴィティ用の靴、
ゼログラヴィティシューズ(展示ではアンチグラヴィティって書かれてましたが)も
展示されていました。
THIS IS IT以前のゼログラヴィティシューズはサイドボタンブーツのようなデザインで
甲から足首にかけて邪魔のないタイプのものが殆どだったのですが、THIS IS ITでは
10ホールの編み上げブーツが用意されていました。これはかなりおどろきです。
レースアップで足首あたりをロックした状態で斜め45℃に前傾って相当大変そう。。
で、前述のローファーを考えると、編み上げブーツではバックスライドは相当大変な気が
しますが、SMOOTH CRIMINALではあんまりやってない!考えられてます。
そして何より、SMOOTH CRIMINALの「アニーを助けるぞ!」的な強い意志と
編み上げは合っている。(詳しくはムーンウォーカーって映画を見て下さい)
そしておまけ。
展示では数々の衣装も展示されていて、その中にGHOSTというショートフィルムで
着用した衣装と、DANGEROUSというパフォーマンスで着るはずだった衣装を発見。
GHOSTの劇中のダンサーとDANGEROUSという曲のパフォーマスでバックダンサーが
履いている靴がサイドゴアブーツなんですね。
最近靴作り教室では秋に向けてサイドゴアブーツを作っている方が何名がいて、
手ほどきをしながらサイドゴアブーツの構造を考えた時に
「甲に邪魔がなくて、足首はきちんとホールドされているけどゴムが入っているから
屈伸性が高いなぁ」
と改めて思いました。実際に自転車に乗る時なんかとっても漕ぎやすいし、
長い時間歩いていても歩きやすい。そして脱ぎはきが楽チン。
MJのバックダンサーはMJ以上に激しく、そして緻密なダンスを踊るので絶対靴は
重要な存在だと思います。ダンサーっていうとハイテクスニーカーって印象が
あるけれど、ステージで衣装もばっちりキメキメの時はやっぱり革靴がかっこいい!です。
とものすごーく長く色々書きましたが、靴の作り手的MJ日記を通して言いたかったことは、
用途に応じて靴に求められる、靴に与えるべき要素は異なる、ってことでした。
そんなの分かってるヨ、というお声が聞こえそうですが。靴という存在を
考える時にまさかMJがそのきっかけの一つになるなんて!と嬉しくなって
思わず書いてしまいました。
最後までおつきあい頂きありがとうございました。