a pair of shoemaking pincers

みなさま、こんにちはこんばんは。

晴れてますが空気はピリリとしているスタジオ界隈。
明日はお天気が崩れるとのことで、晴れ感を記憶すべく作業の
合間合間で窓の外の空を眺めております。

今日は工具のお話を少々。
写真の道具はワニと言って縫い上がった靴を木型に乗せてつりこみという
作業で立体に仕上げていくための道具です。手作り靴を作る上で欠かせない
道具の一つです。先日ご縁あって譲り受けました。日本製のワニです。

譲り受ける、と書きましたが、実は今はワニを作れる人がほとんどおらず
日本製のものを新たに手に入れたくても手に入れられないのが現状です。
日本製のものによりちかづけた中国製や台湾製などのものは手に入るので
何度か試しに手に取ってみたことはありますが、見た目は同じでもつまみ
具合や握った時のバランスなど、いつも感じている収まりの良さを見出せず。

ワニはドイツやイギリス、イタリアなどのヨーロッパ製のものもたくさんあって
それぞれ形状が異なり、人によってはイギリスのものが勝手が良い人もいるし
ドイツ製のものが好みだという人もいるのですが、私は一番最初に使った
ワニが日本のものだったこともあり、このつまみ先の小さいものが勝手が
よく感じているため、日本製のワニを譲っていただけて純粋にうれしかったです。

さて、ちょうど吊り込み待ち靴が一足縫い上がったところ。
譲りうけたワニを使ってつり込みをしてみようかな。

今日もご覧いただきありがとうございました。
と、よき時代の道具への想いを馳せてしまいましたが、道具屋さんのお話では
今使っている道具の幾つかはすでに職人さんが職を手放し、後を継ぐ方もおらず
作れる人がいないそうです。

まだまだ靴を作り続けていきたいので、今使っている道具を大切にしつつ、
これからも続くモノ作り生活のためにもの、その時々で入手できる道具に手を
なじませていくことも大切だなと思いました。ある部分には固執しつつ、
ある部分ではその場に応じて臨機応変に、ハイブリッドな靴作りを
続けていきたいと思います。